ベンチャーやスタートアップ企業の転職支援を行う株式会社プロコミット。2005年の創業以降、求職者と成長企業をつなぐ人材紹介や、採用サイト制作支援サービス「iRec(アイレック)」の提供など、「人」から企業の成長を支える事業に取り組まれています。
創業から駆け抜けた15年。一方で同じ年月、コーチングを続けてこられた理由について、代表取締役社長・清水隆史さんに聞きました。
成長企業の人材採用におけるパートナーとして、多数の実績を誇っているプロコミットですが、「人材業界の経験がまったくない状態で創業したこともあり、最初はわからないことだらけでした」と清水さんは話します。
小林とは2005年に知人を通して知り合い、最初は定期的に人材業界の仕組みや採用のノウハウについて議論していました。ですが1年近く経った頃から、次第に話の内容に変化が生じました。
「最初こそ人材業界について何もわからない状態でしたが、経営をしながら1年も経つと、ある程度知見も溜まりますし、自分たちで仮説を立てて実践していけるようになります。ですが、小林さんとの会話のなかで、問いかけられることで自分の思考が整理されたり、何に課題感があるのか、気づくきっかけになっていました。
事業に必要な知見が溜まったからおしまいではなく、小林さんと定期的に対話やディスカッションをする時間を作ることに意義があると感じて、改めて経営者コーチングという契約をお願いしたいと思ったんです」
世の中に経営者コーチングが多々あるなかで、15年間も続けられている理由として「腹を割って話せる相手というのが大きい」と清水さんは言います。
「もちろん小林さんはプロですから、コーチングに関する確かなスキルを持っています。ただ、それ以前に人柄がとても重要なんですよね。本音を話せる空気感や信頼できる人間性かどうか。そのベースがなければ、たとえ悩んでいることがあっても本心を明かすことができません。
例えば『何に課題を感じているのか』という問いに対しても、課題解決に至るどころか課題の発見すらできません。いいことも悪いことも含めて、信頼して本音で話せる相手であるということが、私にとってはとても貴重でした」
普段の清水さんと小林の対話は、「経営者コーチングというよりも近況報告のような感じ」から始まるといいます。
「そもそも私が、改まって相談するようなスタイルが苦手なんです。もちろん明確にテーマがある時はそれについて話をしますが、普段は特に何も決めずにたわいのない話からスタートすることの方が多いです。
ただ、そういう会話をしていくなかで、自分の潜在的な課題や、それに対する自分の姿勢や解決の糸口を掴めたりする。溜め込まずに話すことで、新たな気づきを得られることもあります。これはコーチングという時間や場があるからこそ得られていることだと思っています」
対話のなかで潜在的な状態に気づく、とは具体的にどういうことでしょうか。清水さんは過去の印象的だった会話について振り返ります。
「以前、会社として大きなチャレンジをするかどうか判断を迫られているときがありました。当時、無意識に『やるべきか、やらざるべきか』の“べき論”で考えていたのですが、小林さんに『やりたいか、やりたくないか、で考えたらどうなりますか?』『やりたいと思わせているものは何でしょう?』と問われたんです。
もちろん、何でも「will(やりたいかどうか)」で考えればいいというわけではありませんが、自分が“べき論”で考えていると気づけましたし、やりたいと思えたことで、具体的な方法まで考えることができました。当時の私にとっては非常に意味のある問いかけでした」
コーチングを受けることで、思考や道筋がクリアになったり、先述のように何かしらの気づきや発見がある時もあれば、反面、特に何もなく終わることもあるそうです。しかし、それは「決して悪いことではない」と清水さんは言います。
「課題や発見がないのであれば、『いまは“凪”の状態なのだ』という認識につながりますし、課題の粒度によっては、必ずしも打ち手を考えなくてもいいこともあります。それらを客体として認識できているかが重要なんです。ただこれは、2週間に一度というペースでコーチングの時間をとっているからかもしれません。
『何かあったら相談する』だと全体の状態が把握しづらいし、3ヶ月に1回など期間があいてしまうと、企業も日々変化し続けているので“ちょっとしたこと”が話せなくなってしまう。定期的に会ってたわいのない会話ができるからこそ、話すテーマに大小があってもいいと思えます」
また、コーチングを通して「自己理解」が進むことで、比例して「他者理解」も進むと語る清水さん。それは経営においても重要だと言います。
「組織は人の集まりで成り立っているので、他者を理解することは組織のあり方とは無関係ではありません。例えば、人の多様性を理解していなければ、自分と違う考え方や価値観に対して、苛立ったり拒否反応を示してしまうかもしれません。
他者に対して『なぜその行動に至ったのか』『そういう捉え方もあるのか』という理解が進むと、相手へのリアクションや言動など対外的な反応は同じだとしても、自分のなかに蓄積される感情やストレスはまるで違うものになるんです」
15年の間には、公私共にさまざまな変化があります。その上で清水さんは「いいも悪いも含め、あらゆることを共有できている相手が自分を“定点観測”してくれているのは、大きな価値」だと話します。
「一方で、小林さんは『あなたはこういうタイプだから』と決めつけてこないんです。15年も話していれば相手の癖もわかってくるものですが、彼女は決して変に型にはめてこない。僕がずっと変わらずに持っている思考の癖に対して、否定をすることもありません。
だからこそ、話していくなかで『前もこのパターンあったな』など、自分の癖や何に課題を持っているかを、自分で気づくことができます。つまり、自分を客観視したり自問自答の質が上がるんです。いいトレーナーにつくと自宅でひとりでトレーニングする時も綺麗なフォームでできますよね。それと似たようなイメージです。コーチングで結果的に背中を押されることはありますが、すべては自分に委ねられているんです。
小林さん自身、決して完全無欠な人間というわけではなく、とても人間くさいところがあります。だからこそ、いい話だけではなく、悪い話や自慢話もしていいと思える。変に飾ったり押しつけたりしてこないところも魅力だと思っています」
社名 | 株式会社プロコミット |
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企業URL | https://www.procommit.co.jp/ |
事業内容 | 人材紹介事業(採用支援、転職支援)、採用サイト支援サービス「iRec(アイレック)」の提供、採用ブランディング支援 |
株式会社nijitoの代表取締役社長・鮫島貴子さんは、2013年に起業。女性に寄り添う100%植物由来のヘアケア・スキンケアブランド「haru(ハル)」や、メンズブランド「Rapter(ラプター)」などのECを展開し、大きな成長を遂げられてきました。
以前は「経営者コーチングの必要性は感じていなかった」という鮫島さん。大きな転機が訪れたのは起業3年目を迎えた頃、会社の成長と共に社員が増え、組織運営に課題を感じていたときのことです。nijitoと鮫島さんは経営者コーチングを通していかにして変わっていったのでしょうか。
3年前からエグゼクティブコーチングを受けられている鮫島さんですが、以前は「経営者コーチングにいい印象がなかった」と言います。
「若い頃に半年間くらいコーチングを受けたことがあったのですが、金額も高く、そもそも必要性を感じていなかったんです。経営に関する課題や悩みは、経営者の知り合いに相談すればいいと考えていましたから」
しかし起業から3年経った頃、主力事業の「haru」が軌道に乗り、会社が大きくなるなかで、新たな“課題”を感じるようになります。
「私たちは、nijitoの社員を“社会に虹をデザインする人”という意味で『虹人(にじびと)』と呼んでいます。『nijitoで働く我々が幸せでなければ、お客様に幸せを届けることはできない』という考えのもと、創業当初から売上げの拡大よりも、虹人が働き甲斐を感じられる会社にすることを最優先にしてきました」
「それまでは、社員全員に話しかけてモチベーションを上げたり、役員のみで賞与や昇進といった評価を決めていました。ですが、福岡オフィスにも社員が増えたことで、私の目が行き届かなくなってきていました。
当時、2人の子どもはまだ幼く、これ以上社員と向き合う時間を取る難しさも感じていたんです。この先の人事評価制度や採用、組織をどう構築するべきか……とても悩んだ時期でした」
そんな時、知り合いの経営者から小林のエグゼクティブコーチングを紹介されました。
「最初は“とりあえず”という気持ちで行ってみました。すると、初日なのにとても自然に話ができて、自分でも驚くほどいろいろな悩みを相談していました(笑)。『社員のこと、子どものこと、人に関わること全てに悩んでいます』と最初から核心を話した覚えがあります。
小林さんは相手のペースを汲み取りながら質問をしてくれるので、とても話しやすいんです。また、nijitoの成長を自分ごととして捉えて、伴走しようと考えてくれる。初日のセッションが終わったあと、その場で月に1回の定期的なエグゼクティブコーチングをお願いすることにしました」
「起業からの3年間は、自分の持っていたスキルや経験だけで何とか走ってこれた気がする」と鮫島さんは話します。実際に起業してからは、家庭のことや子育てに加え、会社経営をこなす怒涛の日々でした。 そんななか、定期的なエグゼクティブコーチングによって、大きな変化を感じたと言います。
「私自身や、会社の状態がしっかりと把握できるようになりました。小林さんが正解を教えてくれるというよりは、課題によってさまざまな軸で思考の仕方や、優先順位の付け方をアドバイスしてくれます。
また、質問されることで、自分のなかから課題を引き出して一緒に整理できるんです。『次はこういうステップを踏んでいこう』と次の活動を明確にして進めるようになりました。nijitoの理念は『おせっかいで社会を変えたい』なのですが、小林さんに『おせっかいってつまりはどういうことですか?』と問いかけられたこともあります。そこから、より社員に伝わりやすくするための切り口や方法を整理できました。
コーチングを受けることで課題を整理し、新たなチャレンジに移れるようになりましたね。小林さんを通して“内省”をしているような感覚です」
もう一つ大きな変化は、鮫島さん自身の社員への接し方です。
「社員に対する問いかけ方や、最終的に社員にどんなアウトプットを出してもらうべきかをアドバイスしてもらえるので、私自身の社員への接し方が明確に変わりました。
あと社員の話を聞くなど、基本なことでも、自分が不安を抱えていたり焦っている時だと難しいですよね。コーチングを通して“内省”することで、自身を健全に保てるようになりましたし、それが結果的に会社を健全な状態に保っているのだと思います」
「虹人が働き甲斐を感じられる会社」を掲げるなかで、鮫島さんは、社員研修や部長、マネージャークラスのエグゼクティブコーチングなども併用されています。
「そもそも3年目に組織運営に課題を抱えた時、部長クラスの相互コミュニケーションが重要だと感じていました。そこで、小林さんに部長クラスの社員研修もお願いしたんです」
傾聴や部下のパフォーマンスをアップさせる方法、部長同士の相互理解の場作りを実施した結果、「部長ラインの部下に対する接し方がさらに変化した」そうです。
「研修を経て『どうしたらやれるかな』と部下に伴走してサポートできるようになりましたし、そのことによって、部下からの信頼が高まりました」
その後もマネジメントラインや新卒の内定者研修など、都度必要な層の研修を委託されています。また、部長クラスは適宜個別に面談(コーチング)することもあります。
「小林さんは、nijitoのビジネスモデルや理念に共感して伴走してくれています。企業文化も理解してくれた上で、研修まで担ってくれるのは本当に有難い。 コーチングだけではなく、マネージメントや組織開発、場のファシリテーションまで担える点は、小林さんの大きな強みだと思います」
「子どものことやプライベートな話もしますが、基本的には、いつも社員のことばかり相談しています」という鮫島さん。コーチングは、鮫島さんが目指す会社づくりに必要不可欠なものだといいます。
「私は新卒の社員を大事に育てたいと考えているのですが、その成長を待つ過程で私のなかに焦りが生まれることがあります。自分の軸がブレそうな時に小林さんと話しをすると、『私が本当に大切にしたいものは何か』に目を向けさせてくれます。ブレそうな軸をそっと戻してくれるんです。
nijitoのビジネスモデルや理想の在り方を理解した上でアドバイスしてくれますし、先述した社員のコーチングや研修もそう。コーチングをお願いしてから約3年が経ちますが、今では会社の文化を共に作るパートナー的な存在になっています」
社名 | 株式会社nijito |
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企業URL | https://www.nijito.jp/ |
事業内容 | ヘアケア、スキンケア化粧品、日用雑貨の製造および販売・通信販売業 |
川崎市中原区「武蔵新城」は、都心から電車で20~30分の距離にあります。アクセスのよさに加えて住みやすさにも定評があり、家族連れが多いのも特長です。そんな武蔵新城を中心に、不動産管理業を生業にする株式会社南荘石井事務所・代表取締役の石井秀和さんは、「武蔵新城の大家」としてまちづくりを牽引し、地域に暮らす人たちの生活を支えています。
日々、多様な人たちと接する石井さんですが、経営者コーチングを通して「人の意見や考えを認められるようになった」と話します。経営者コーチングがもたらしたもの、そして自身に起こった変化を伺います。
石井さんは、武蔵新城エリアでの賃貸住宅の提供を通して、住む人たちがより良く暮らし、働きやすいまちづくりを目指しています。
「曽祖父がこの地域の農地を活用し、賃貸業を始めたのが会社の原点です。不動産管理がメイン事業で、武蔵新城を中心に20棟弱のマンションのオーナーを務めています。
不動産管理業以外には、管理するマンション共有部の入り口に面するカフェ『新城テラス』や2020年11月にオープンしたコワーキングスペース『新城WORK』、空室のクリーニングを行う清掃会社などを運営しています。スタッフは社員や業務委託の方も含めて10名ほどです」
「人と人、人と地域をつなぎ、街の価値を創造し、未来につなぐ」を会社のビジョンとし、“人”に重きを置きながら幅広い事業展開をしている石井さんですが、「社員のことをちゃんと考えられるようになったのは、ここ数年のこと」だと言います。
2000年に前職を辞め、南荘石井事務所に入社。先代である父親から事業を引き継ぎ、石井さんが代表になったのは2013年のことでした。
「当時は『これからマンション管理をどうすべきか』を悩んでいました。バブルが弾けて以降、賃料は右肩下がり。空室も目立ってきていました。一方、マンションオーナーである以上、定期的に建物の修繕やそれに伴う費用が発生します。これからどう会社を運営していけばいいのか、不安だらけでした」
そんな折、石井さんは熱海で行われた「リノベーションスクール(空き家や使われなくなった商業ビルや建物を再生し、まちを元気にする実践型のスクール)」に参加。そこでは「賃料を下げて空室をただ埋めるのではなく、住む人たちの満足度を上げて、エリアの価値を上げるという視点を学んだ」と言います。
以降、マンション管理にとどまらず、「新城テラス」や地域住民がつながる場として、イベントスペース「PASAR BASE (パサールベース) 」を立ち上げるなど、武蔵新城のまちづくりに注力することとなります。
「武蔵新城に暮らす人たちが、さまざまな体験や繋がりを通して、人生を豊かにしていける機会を作ろうと決めました。すると自ずとマンションの空室も埋まっていくし、事業にも返ってくるようになりました」
小林との出会いはそこから数年後、熱海のまちづくりを介し、同じチームとして事業を作り上げることになったのがきっかけでした。
「小林さんに出会うまで、経営者コーチングを意識したことはなかったですし、自分には必要ないとも思っていました。ですが、チームとして共に動くなかで、彼女の人への寄り添い方や気持ちの汲み取り方に、ハッとさせられることが多かったんです。
小林さんは、人の裏側にどんな思いや状況があるのか、相手の立場に立って思考を巡らせます。それまで私は『一人ひとり違うといっても、価値観にそこまで幅はないだろう』と考えていたのですが、無意識のうちに、自分の気持ちや価値観を人に押しつけていたと気づきました」
「組織を運営する上で、スタッフの思いを尊重し、引き出していく必要性を感じた」という石井さん。小林の経営者コーチングを導入することで、社員との接し方にもさらなる変化が生まれます。
「本来私は、自分に自信があるタイプではありません。ですが小林さんは、私の取り組みや事業を理解した上で『あなたを全面的に信頼している。大丈夫』と背中を押してくれる。同じ事業に取り組んでいた仲間だったということもあってか、本心から言ってくれているのが、よくわかるんです。
コーチングを通して自分を“容認”してもらったことで、自信につながったと同時に、他者を“容認”できるようになりました。すると相手の理解も深まりますし、スタッフから自分と違う意見や考え方が上がってきたとしても、『その人にとっては、それが正解なんだ』と思えるようになったんです。
今では、新城テラスや新城WORKなど、基本的に事業運営そのものをスタッフに任せられるようになりました。私がこうして欲しいと伝えるのではなく、スタッフが考えて作っていくのを見守るようなスタンスです。自分が変わることで、会社の雰囲気も変わりましたね。とても大きなターニングポイントでした」
もうひとつの変化は、自分自身の傾向を捉えられるようになったことです。
「先ほど『マンション管理に不安を抱えていた』と言いましたが、常に何かしら不安を抱えている性分なんです。それに対して小林さんは、『いま、何に不安を抱えているのか』という問いを投げかけてくれます。不安を分解してみると意外と大したことではなかったりして、一歩前に進めるようになる。
大事なのは“不安をなくす”ことではなく、不安を感じていると認めて、その正体が何か、どこに自分がざわつきを感じているのかを知ること。そう気づいてからは、コーチング以外でも自分に問いかけ、不安と向き合えるようになりました」
2016年にカフェ『新城テラス』を立ち上げた時は、「“地域に暮らす人たちのための場”という思いが強かった」と石井さんは話します。
「ですが、運営を任せられるスタッフが出てきた時、その場を彼女がやりたいたいように活用してもらうことも大事だと思うようになりました。地域に暮らす人たちの満足度や幸せだけではなく、スタッフがより良く働いたり、幸せを感じられる場を作ろうと考えるようになったのは、小林さんと時間を共にしてきたからだと思います」
石井さんは現在、自身の経営者コーチングだけではなく、社員向けのコーチングも併用されています。
「チームに問題が起こったり、気になる状態のスタッフが出てきた場合、小林さんに社員のカウンセリングをお願いしています。スタッフにとっては自分は代表ですし、面と向かって言いにくいこともあるはず。働く上で“逃げ場”があることはとても重要です。
小林さんという第三者がいてくれることで、スタッフも私も心理的安全性が保てていると感じます。私自身はもちろん会社にとっても、小林さんはなくてはならない存在です」
社名 | 株式会社南荘石井事務所 |
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企業URL | https://seses-ishii.jp/ |
事業内容 | 不動産管理業務及び、左記業務に附帯する一切の業務 |